※2016年3月に「漆サミット」は「日本漆アカデミー」と名称を変更しました。

ウルシ科の樹木から樹液を取り、それを調整加工して塗料あるいは接着材として利用するのは東アジアから南アジアにかけての固有の文化である。とりわけ日本、中国、朝鮮半島ではウルシ属のウルシの樹液を用いて漆製品とする技術・文化が古くから発達し、人びとは漆器のある生活を営み、そして高度な美術工芸品を生み出してきました。

特に日本に於いてはウルシの栽培・漆液採取に始まり、木地生産、塗り、加飾など、それを製品に仕上げ、流通するすべての段階において、実に多くの人びとが携わって、漆製品を作りあげ、利用する技術・文化体系が高度に発展してきたました。

しかし、現今の大量生産・大量消費を是とする社会においては、良質なものを息長く利用する漆のような技術と文化は片隅に追いやられ、わずかに息づいているに過ぎません。高度な天然素材で、環境負荷も少なく、またアジアの気候風土にマッチした漆の復権を計ることは、現在地球人類全体の最重要課題である地球温暖化、地球環境悪化の状況を少しでも改善するために貢献することになると言えます。

そこで、漆サミットでは、この漆の元となる「植物としてのウルシそのものの研究」に始まり、その「栽培育成と漆液生産の技術と文化」、「漆液の物理化学的性質の研究と漆液精製技術」、「漆器木地の制作技術」、「塗料としての漆の化学・工学、漆工芸技術と文化」、「漆器生産と流通、漆の生産から消費のすべての過程での地域の生産活動と地域社会」、そして「漆器の利用文化と美術工芸」など、漆に関連するすべての分野と活動に関わる人びとが一堂に会して、縦割り状態にある個々の専門分野を「漆」という緯糸で横断的に総合し、互いの情報交換と相互理解、そして協働しての漆技術の継承と復権を計る場として設立しました。

漆を巡る専門分野の学会や研究会は既にいくつかあり、それらは活発な活動を通してこれまでにも多くの業績を上げて来ていますが、このサミットではそれらの団体にも積極的に参加を仰ぎ、漆産業と技術・文化の更なる継承と発展を図る場としたいと考えています。